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【報告】平成29年度 景観まちづくり講座「アニメと語るストーリーとなるねりまの風景」

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去る、10月8日(水)区民産業プラザ(研修室1)にて、平成29年度 景観まちづくり講座を開催しました。
「景観」という言葉から、みなさんどんなイメージを持たれるでしょうか。古き良き建物が連なるまちなみ、シンボリックな建築が目を引く広場...など、際立った特徴のあるものを、想像するかもしれません。

しかし、私たちの日常のなかには、実は"愛すべき景観"がたくさん隠れています。
それらを、様々な切り口からより身近に感じてもらうために、「景観まちづくり講座」を、毎年開催しています。

今回は、練馬が誇る文化のジャンルのひとつでもある「アニメ」から、景観を読み解きました。
アニメを構成する物語やキャラクター、背景美術は、作品としてのドラマ性を高める大きな要素です。 特にアニメに描かれる背景美術に着目し、普通のまち・普通の暮らしのなかに埋もれている"愛すべき景観"の存在を掘り起こし、物語性のある"愛すべき景観"のユニーク性を語り合いながら、練馬らしい景観の姿を、ゲストを迎え話し合いました。

第一部:講演
「ふつうの暮らしの中にある風景が、"特別な風景"になるとき -アニメの背景美術を通して観る、ねりまの風景-」
講師:髙橋 宏一 氏(株式会社ステロタイプスマーチル取締役)


kouza_171018_img02.JPG アニメの背景美術を手掛ける会社を経営し、練馬区のアニメーション産業の振興などを進める「一般社団法人練馬アニメーション」理事を務める髙橋宏一さんから、『アニメができるまで』(※)のお話を導入として、アニメにおける美術・背景の役割についてお話いただきました。 ※「アニメ・イチバンのまち練馬区」http://animation-nerima.jp/

「アニメ制作の美術・背景の視点からみた、練馬の風景の魅力とは何でしょうか?」
「アニメ作品の美術や背景は、日常的な風景を基礎としています。普通の道路、交差点、曲がり角、どこかで見かけたことのある公園、ベンチ、など。

こうした風景は、ストーリーが展開しキャラクターが生き生きと動き出すことにより、別の意味合いを持った、"ふつう"ではない場所へと変容していきます。
そう、アニメは心情を風景に乗せることができるのです。

そういった意味で、練馬の風景には適度な日常が溢れています。
代表的なのが西武池袋線・新宿線や、石神井公園・光が丘公園のような大きな公園から、すぐ近くにある児童公園など。見慣れた風景だからこそ、そこにストーリーが宿る。
アニメは、とても親和性が高いのでしょうね。」



第二部:鼎談(ていだん)
「愛すべき、ストーリーとなるねりまの風景」
コーディネーター:永田 浩三 氏(武蔵大学社会学部メディア社会学科教授)
ゲスト:髙橋 宏一 氏(株式会社ステロタイプスマーチル取締役)|寒河江 淳二氏(東京建築士会会員(練馬支部)、彫刻家・日展審査員)

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第2部では、コーディネーターとして、「風景論」の授業を担当したこともある武蔵大学メディア社会学科教授の永田浩三さんにご登場いただき、「愛すべき、ストーリーとなるねりまの風景」について、第一部でお話いただいた髙橋さんと、景観まち歩きなどにご協力頂いている建築士会の寒河江淳二さんにご登場いただき、鼎談を行いました。


冒頭コーディネーターの永田さんから、人は変わりゆく・失われつつある街並みも、その記憶を心の中で甦らせながら見ている、という【五感で感じる風景】について冒頭お話いただきました。

それを受け、建築士でもあり芸術家でもある寒河江さんからは、「観光資源」と呼べるものが少ない練馬ならではの、農地やみどりとのふれあいから連なる練馬らしい資源・暮らしなど、描きたくなるような風景について教えていただきました。

また、物語にあわせ風景に足し算・引き算を施していくアニメの手法から、心象風景を作り出す景観について、髙橋さんよりお話いただきました。


***** 質疑応答 *****
【質疑】
「アニメとしてのきれいな風景、写真を撮った時に思うきれいな風景、まち歩きをした時に思うきれいな風景、みんな違うと思います。
練馬にとってのきれいな風景とは何でしょうか?」


【応答】
髙橋さん
「きれいは、全くの主観の世界、個人の中から生まれてくるものです。わたしが思う練馬の美しい風景は、まさに日常の風景。
 普通の時間の変化の中で、ほっとしたり感動したり、そんな瞬間をいくつも見つけられると良いなと思います。」

寒河江さん
 「個人の思い入れや感情により、同じ景色を見ていてもある一点だけくっきり見えて、あとはぼやける。
  そんな見方を、個々人が持つことが大事で、それが言葉は適切ではないかもしれないが、きれいな風景なのではないでしょうか。」

永田さん
「美しいものは、美しいと感じる人がいるから美しいんじゃないでしょうか。
民俗学者の宮本常一さんは、"人の手が入っているものは美しい。"ということを言っておられます。
普通自然は美しいと言いますが、人が関わっていてその痕跡がおもしろい、痕跡や物語を見つけることが、
人間らしく美しいという感情につながっていくと思いますね。」

【質疑】
「なんの思い入れも何もない風景から、物語性をうき立たせるコツなどあれば教えてください。」
【応答】
永田さん
「ある人がこだわりを持つことで、美しい風景になるのだと思います。こだわりと美しさは切っても切れない関係にあるかと思います。」

髙橋さん
「わたしたちは、気に入ったものしか基本的に見ません。
 たとえとなりに、いやなものがあったとしても、それを凌駕するほど気に入ったものの視点で満たされれば、総合的に良いのではないかなと思います。」

寒河江さん
貸景*の話をします。たとえばまちを歩くときに、ひとり批評家になった気持ちでコメントをしていくと良いですね。
 あの門構えは素敵だ、あの花壇の手入れは少し残念、あの立派な松は、どうしてここに残っているのだろう...など。
 対話を深めていくと、その持ち主のお気持ちが読めて『ああここでは町の景観に対して、こういう貸景をしてくれているのだ。』
 というような対話をしながら歩くような気持になれます。いつしかそこに物語が生まれていくような気がしますね。」

kouza_171018_img04.JPG「貸景のすすめ」(【企画・編集】景観まちづくり研究会)
  まちの景色にこちらから彩りをそえる取り組み(貸景)のアイディアをまとめた冊子。





今回の講座を通して、みなさんのまちの見方や心の中で大事にしている風景について、
アニメの持つドラマ性を語りながら、景観の視点で深掘りすることができました。
今後もみどりのまちづくりセンターでは、みなさんの"愛すべき景観"を育む取り組みを、応援していきます。
身近な景観づくりに、まずは講座やまち歩きなどを通して、触れてみてくだい!

タイトルの色は、練馬区のよりどりみどり「NERIMA GREEN(ねりまグリーン)」を使用しています。